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岡田まりゑblog

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577 つかこうへい

先日、
新宿の紀伊国屋ホールへ「熱海殺人事件NEXT」を観に行ってきました。
つか芝居は、ずっと以前、
私が芝居に夢中になっている時に頻繁に観に行っていました
その頃は、自分なりに可成り真剣に芝居関係に携わりたいと思っていて、
スタニスラフスキーシステムやら苦手な肉体作りやら、
とにかく四六時中芝居のことだけにエネルギ−を費やして過ごしていました。
一応、俳優修行のようなことをやっていましたが、
私がやりたかったのは演出でした。

夢中になったきっかけが、
気の進まないまま友人に連れていかれた つかこうへいのお芝居でした。
それまでは余り興味のなかった演劇というジャンルでしたが、
つかさんのお芝居は、私の演劇に対する偏見を一新させました。
とにかく、楽しかったし、「すごい!」と思わされたのです。
作品の制作とは全く違うエネルギ−の出し方。
消えて行ってしまう一瞬に向けて精進する時間と
その一瞬に籠められたエネルギ−の凄さに圧倒されました。

衣装や舞台美術に余り頼らない(究極のカタチで表し)シンプルな表現。
役者さんたちも、どちらかというと親近感の湧く方々で、
「もしかしたら自分にもこの芝居出来るかも」と、思わせます。
しかし、その1m強の高さ(舞台の)は決して生半可なコトでは越えられないと、
自分がやってみて初めて思い知らせれるプロの仕事の凄さ!!
でも、その成果(芝居本体)はその一瞬で終わってしまう潔さ。

つか芝居は、人間の哀しみという深くて思いテーマをコメディという
一見軽いタッチで描き、
スゴいことを、
とても身近な感じで表現し、むしろ観客を楽しませる。
楽しませながら人の心深くに入ってゆく。


その後私は、
芝居関係のようなフィジカルな要素を必要とする表現は、
自分には無理だと思い知らされ、
無事、版画の道に戻って行ったわけですが、
つか芝居のその姿勢は、
今でも私の中で ある「理想」として留まっています。

そして、
今でもたまに、 あのセツナさに浸りたいと思い
また観に行ってしまうのです。


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by malie134-HS02 | 2012-04-20 16:18 | ステキ | Comments(0)
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