創りためた版をやっとひとつづつ刷って
作品に仕上げてゆく日々です。
こうして静かに籠って制作してゆく時間は
大好きな過程です。
以前は製版(描いたり、腐食したりする)の方が
面白く感じていましたが、
だいぶ肉体労働がキツクなってきた昨今、
刷りも楽しいなと思えるようになりました。
私の主だった技法の一版多色凹凸版刷りは、
作家によって違った方法を取っているもので、
それぞれ違った味わいを出せる刷り方だと思います。
版画は一般的には、色別に版分けして
色を置いてシステマチックに刷ってゆく印象がありますが、
私の場合、一版のみで刷ってゆくので、
出来上がりがパターン化しないよう
色は描くように置いてゆきます。
ですから、版によってはインクを置くだけで
一時間くらいかかったりします。
最近仕上げた作品の様子です。
色を置き、余分なインクを寒冷紗で拭き取ったところ。
この後、さらに人絹で綺麗に整えてゆきます。
その上に全体的にバックの色を乗せます。
この作品は、深い緑色の作品に仕上がります。
一版多色凹凸版刷り、不思議な感じでしょ!
4/8の
コートギャラリー国立での
デモンストレーションで全貌をご覧いただければと思います。