昨日、「ハルカニ....」という作品の刷り増しをしてアトリエから帰ってきたら
偶然にも「ハルカニ...」にコメントを頂いていて、とても嬉しかったので、
たまには、ちょっと版画家な方面のことも書いてみようと思います。
作品の技術の難易度は、作品を観る上ではあまり重要な要素ではないと私は思っています。
それよりも、仕上がった作品そのものの印象、パワーが大事だと考えます。
が、鑑賞するときの楽しみとして、「ここにはコンナモノが使われているらしい」などという
情報も、たまには楽しかったりしますね。
『ハルカニ....」は
雁皮刷りという方法で刷られています。
薄い和紙に刷りつつ台紙の紙に張り込んで行く方法です。
雁皮のやわらかい透明感のある空気感が作品に欲しかったので、
この方法で刷ってみました。
さらに、その薄い雁皮と台紙の洋紙の間に日本画の岩絵の具の粉を撒いて
部分的に着色しています。
着色といっても、細かい粉が紙と紙の間に挟まっている,,,,という状態ですが。
これによって、さらなる「ハルカ」な感じの空気をつくりたかった訳です。
左「水面に...」 右 「ハルカニ....」
どちらも、この方法で刷りました。
こんな風に書きますと、あたかも最初から全部計算されたコトのようですが
この方法を考えついたのは、アクシデントからの発見です。
単純な雁皮刷りをしているときに、不注意で糸くずを挟み込んで刷ってしまったことが
ありました。その糸くずが思いもかけずステキな効果をあげていたので
この 技?を考えつくきっかけになりました。
今では、数少ない私のワザとなっています。
何が功を奏するかわかりません。
PS:銅版画の基本的な方法は、LINK先の
野澤菜穂子さんのサイトのPROCESSを見て頂けると判りやすいです。他力本願でスミマセン....